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執筆者の写真山端 基靖

「貸してあげなさい」の間違い


FROM:山端基靖

社会に出ると、「目上に従う」ことを学びますよね。

学生の時でも、部活などをしていれば、特にそういうことを学びます。

上司、先生、先輩‥‥といった目上の言うことを素直に聞いて過ごすわけです。

ただし、ほとんどの場合、ひたすら「はい」と言って頑張るのは、最初のうちだけです。

そのうち、

「必要以上に指示されないようにする」

「自分で考えてやる」

「言われなくても期待にこたえる」

とやっていかないと、目上に喜ばれません。

つまり、だんだんと目上の思いを汲めるようにならなくてはいけないわけです。

そう考えると、社会に出る前の段階で、目上の思いを汲む感覚がそもそもゼロだと、ものすごく苦労します。

社会に出てから、

〇目上の言うことを素直に聞けず自己主張したり

〇目上への愚痴や不満が当たり前になったり

〇目上の思いを汲まずに自分の感覚だけで頑張ってみたり

となります。

結果、目上に嫌われ、会社や社会に貢献できず、自分も成長できない、というオチになります。

場合によっては、目上の思いを汲めない自分を棚に上げて、上司や会社を批判することにもなります。

社会に出てから目上との関係で苦労する人の多くは、家庭生活の中で、目上を軽く扱っています。

家庭生活での目上とは、祖父母、親、兄、姉、年上の親戚、などのことです。

そういう目上に対して、

・口ごたえやケンカは当たり前

・何かをしてもらうのは当たり前

・相手にものを言わせないような不機嫌な態度をとるのは当たり前

といった具合です。

目上の思いを汲む感覚はゼロです。

親としては、子供には社会で立派に頑張ってほしいですよね。

であれば、家庭生活の中で、子供が目上を尊敬できるように育てなくてはいけません。

その方法の一つとしては、

「お兄ちゃんなんだから貸してあげなさい」

みたいに言わないことです。

たとえば、お兄ちゃんのオモチャを弟が欲しがる。

そんな時、弟がダダをこねてうるさいのを静かにさせたい親の気持ちも分かります。

ですが、かといって、

「弟に貸してあげなさい」

は間違いです。

お兄ちゃんとしては、自分のオモチャで遊んでいるだけです。

それをどうして、命令されて貸してあげなくてはいけないのでしょうか。

そういうやり方でお兄ちゃんの思いやりの心を育てようとしているなら、逆効果です。

お兄ちゃんとしては、親や弟に対する不満を大きくするだけです。

このようなケースでは、目上のものを欲しがる弟を注意したほうが、兄弟のためになります。

自分に置き換えれば簡単な話ですよね。

自分のスマホをいじっていたら、誰かが「貸して」と言ってきた。

断ったら他の人に「貸してあげなさい」と言われた。

「は?」ってなりますよね。

子供も同じです。

もし、今のようなケースが当たり前になっていると、弟は社会に出てから苦労します。

目上のものを平気で欲しがる。親もそれを許容する。

そこから始まり、親にもわがままを通し、保育園(幼稚園)や学校でもわがままを通すようになります。

その延長で、社会で苦労します。

こういう子のことを一般的に「協調性がない」と言ったりもしますが、協調性のなさの根っ子は、目上を軽く扱うところからきています。

ですから、協調性のない人は総じて目上を軽く扱っています。

逆にいうと、協調性のない子をなんとかしたい時は、

〇親自身が目上の思いを汲む

〇目上・目下の順序をつけた環境の中で子供を育てる

ようにすれば、子供はまともになっていきます。

言うほど簡単ではありませんが、親自身が徹底すれば、子供もあとに続いていきます。

「我が子が社会で苦労しなくて済むように、家庭の中で目上・目下の順序を徹底する」

ぜひ、心に置いていただければと思います。

ではまた。

山端基靖

※このブログは、家庭力アップメルマガの内容を転載したものです



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