FROM:山端基靖
30代の息子さんのことで困っているお母さん。
話を伺うと、息子さんがしょっちゅうお金をせびってくるそうです。
息子さんは一人暮らしをしており、ある時期から生活保護費を受給。にも関わらず、お金の無心をする。パチンコやタバコにお金を使っているとのことでした。
「バカ息子に困らされているので、なんとかしてほしい」
そう言っておられました。
いったん話は変わりますが‥‥
私が、「人様の相談に乗って人をたすける仕事がしたい」と志したのは、20代後半です。
当時は、
人をたすける=人に親切にする
という感覚でいました。
誰かの引っ越しの手伝いをしたり、掃除が苦手な方のお宅の掃除をしたり、車がない人を送り迎えしてあげたり‥‥
そういうのを無償でしてあげるのが、人をたすけることだと思っていました。
ところが‥‥
そうしていろいろな方のお手伝いをさせていただいた結果、どうなったか?
彼らはだんだん、「手伝ってもらうのが当たり前」という感覚になってきました。(全員が全員ではないですが)
買い物や銀行振込など、それまで自分でやっていたことまで、当たり前のように頼んでくる方もいました。
用事があって頼まれごとを断ったとき、嫌な顔をする方もいました。
気がつけば私は、人様をたすける人、というより、ただの便利屋になっていました。
そして何より、人をたすけているつもりが、かえって相手をダメにしていることに気づきました。
形の上では人様のお役に立って、実際は依存させているだけでした。
ちなみに、その頃にも、子どもさんのことで相談を受けることがありました。
そんな時のアプローチは、こんなかんじでした↓
(子供さんがある程度大きい場合)
1、親御さんから事情を聞いた後、子どもさんと接する
↓
2、子どもさんに根気強く接し続けて、信頼関係を築く
↓
3、信頼関係ができたら本音を打ち明けてもらって、一緒に解決方法を探す
↓
4、解決方法を実践&改善。それの繰り返し
ですが、このやり方では、一時は困り事が解決するものの、長い目で見ると、うまくいきませんでした。
今思えば、このアプローチは間違いでした。
ところで、当時の私は、場当たり的に人と関わっていたわけではありません。
夫婦親子に関するセミナーや講習会に、積極的に参加していました。
弁護士が主催する、多重債務者(複数の会社からお金を借り入れている人)との関わり方についての講習も、受講しました。
心理カウンセラーや精神科医の方が講義してくれるセミナーも、受講しました。
そういう場で学んだことを生かしながら、人と関わってきました。
ですが、
○多重債務者の方から相談を受けて、弁護士を通して解決する。
○精神疾患の方(またはその家族)から相談を受けて、セミナーで学んだ通りに関わり合う。
などやってみても、しっくりきませんでした。
一時は困り事が解決したり快方へ向かうのですが、根っ子の部分が解決されていませんでした。
根っ子とは、こういうことです↓
たとえば、胃潰瘍(いかいよう)になったとして、医者が、「お酒の飲みすぎ」と診断したとします。
ところが、なぜその人がお酒を飲みすぎるようになったかという原因は、医者は取り扱いません。
治療や投薬をして、病気との向き合い方については教えてくださいますが、原因までは取り扱いません。
すると、治療や投薬で一時病気は治っても、また、もとのお酒を飲む生活に戻ることがほとんどです。
借金問題にしても、弁護士に債務整理の手続きをしてもらったり、支出の改善についてアドバイスしてもらうことはできます。
さらに、たとえばギャンブル依存で借金が重なったのであれば、その改善策くらいは教えてくれるかもしれません。
ですが、なぜギャンブル依存になったかという原因は、弁護士は取り扱いません。
すると、債務整理後は「二度と借金なんてしない」と思うものの、何かのきっかけでまた借り入れをアテにするようになりがちです。
そのうち、
「もしまた借金しても、債務整理すればいい」
という感覚になり、最初の債務整理が、悪い意味での成功体験となってしまう場合もたくさんあります。
そのようなわけで、
「どんなに手を差し伸べても根っ子の部分が改善されない」
ということに対して、長い間、悶々としていました。
そんなある日、ある講演会に参加したときのこと。
講師の先生のお話を聞いて、めちゃくちゃ衝撃を受けました。「根っ子にアプローチするっていうのはこういうことだ!」と感激しました。
印象的なお話はたくさんあったのですが、その中の一部をご紹介します↓
「この世の中に、他人のせいで困るということは、絶対にありません。
世の中、いろいろな困り事がありますよね。子どもが引きこもりだとか、家庭内暴力だとか、嫁姑問題とか、浮気とか‥‥。
でも、そういう時、
『この人がもっとこうしてくれたら!』『あの人がもっとこうだったら!』
と言って、相手に指を向けているうちは、困り事は解決しません。
相手に向けているその指を自分に向けて、
『自分のどこに間違いがあるのか』『自分がどう変わればいいのか』『自分にできることは何か』
と考えて実行することで、困り事が解決していきます。
困り事というのは、自分の心の間違いを気づかせてくれるために起こるものであって、相手を責めるために起こるものではありません」
講演の中では、自分に指を向けることで困り事が解決した具体例も、いくつか聞かせていただきました。具体例を聞くたびに、「なるほど!」と感激したのを覚えています。
そのようなわけで、最初の話に戻ります。
30代の息子さんがしょっちゅうお金をせびってきて、困っているお母さん。
「バカ息子に困らされているので、なんとかしてほしい」
そのように言われていたお母さん。
息子さんに指を向けているうちは、困り事は解決しません。
では、どうすればいいのか?
お母さんの言い分は、「息子に困らされているからなんとかしてほしい」というものです。
どこに間違いがあると思いますか?
かわいいかわいい我が子が、30代にもなって、わがまま勝手をして、親にお金をせびっている。
であれば、
「息子がいい歳をして、わがまま勝手をしている。この子になんとかまともになってほしい。立派な人間になってほしい」
というのが、親の愛情だと思いませんか?
ところが、
「息子に困らされているからなんとかしてほしい」
というご相談なんです。
「息子になんとかまともな人間になってほしいのですが、うまくいかなくて困っています」というご相談ではなく。
息子をたすけたいから相談する、というより、自分が息子からたすけてほしいから相談する、というかんじです。
以前の私であれば、直接息子さんに会って、解決策を探っていたと思います。
今はそれはやりません。根っ子にアプローチする方法をとります。
この困り事を解決するには、お母さんが、息子さんに向けているその指を、自分に向ける必要があります。
そして、自分の何が違っていたのかを知り、それを修正するための行動をとれば、息子さんに小言を言わなくても、解決していきます。
どんな困り事であれ、根っ子から解決するためには、原因を自分の中から探し出して、そこにアプローチする必要があります。
自分を困らせるのがとんでもない相手であっても、「相手を変えることはできない」という点で、このアプローチが必要です。
今後、このブログを通して、家庭の困り事を解決したり円満にするための、具体的な内容に触れていただきます。
今日はかるく事例に触れて頂いただけですが、今後は細かく触れていただきます。
どうぞ、気長にお読みいただければと思います。
このブログが、あなたの家庭づくりのお手伝いになれば幸いです。
ではまた。
山端 基靖
※このブログは、家庭力アップメルマガの内容を転載したものです